2008年06月19日

原油高騰とクジラ

■燃油高騰に漁業者悲鳴 (6/18,Yahoo!トピックス)
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/fishery_fuel_prices/
■原油高でマグロ初の休漁 小売価格上昇は必至 (5/28,J-CAST)
http://www.j-cast.com/2008/05/28020732.html?p=all
■燃油高騰水産業緊急対策について|水産庁
http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/keiei/080728.html

 

 全国のイカ釣り漁船約900隻が一斉に2日間の操業停止へ。全漁連などの呼びかけで、その他合わせて12の漁業団体が来月にかけて一斉休漁を予定しているとのこと。原油高騰の影響をもろにかぶった漁業者は、燃料代が2倍以上に跳ね上がって出漁すればするだけ赤字が増えるという状況で、廃業に追い込まれるのも時間の問題」と悲鳴の声が上がっています。すでに遠洋延縄マグロ漁業者の中には20億円の負債を抱えて破産したところも出てきています。いまもなお急速に進む原油の値上がりを前に、このままでは漁業者の倒産・廃業が続出しかねません。
 さて、こうした状況に対して国は一体何をやっているのでしょうか?
 水産庁の対策ページを見てみると、3ページのPDFファイルが貼っつけてあります。中身は「補正予算を組むから大丈夫ですヨ!」といういかにも"新米営業社員的なプレゼン資料"で、"浜の声"を載せているという割に、対策の説明のほうには切迫感が感じられません・・。基金の総額は百億円ちょいですが、石油タンクの建設費や省エネ推進といったかなり悠長な構造改革の話で、前年から継続中の事業に+アルファするだけの、よくある帳尻合わせ的な補正予算という感じです。昨年末に原油高騰対策のPJTチームや"理解醸成のための協議会"も設置されましたが……理解醸成って「原油上がって困ったね」「そうだね」で終わっていいの?(汗 今日の町村官房長官の会見では、「差額を全部もてといわれても困る」自助努力を強調するずいぶん突き放した言い方・・。「ともかく"いま"の苦境をどうにかしてくれ」と緊急支援を要請している漁業者の声は耳に入らないようです。
 年間20億円以上の税金を投入し、至れり尽せりの捕鯨と比べ、この開きは一体何なのでしょうか??
 べら棒に燃料を食う高エネルギー投資型の一次産業として知られる遠洋マグロ漁業ですが、負けず劣らず大量の重油を消費するのが遠洋捕鯨です。下記リンクで調査捕鯨船団の南極行にかかる大雑把な燃料消費、CO2排出量を試算しましたが、南極海を取り巻く"吠える50度"、"叫ぶ60度"と呼ばれる暴風圏を各船が往復突破する際の燃料消費増を考慮していなかったため、少なく見積もりすぎたようです(この件については別途情報を収集する予定)。
 原油高騰の煽りは共同船舶も受けているはずで、水産庁との交渉で決まる鯨肉の価格は、今後さらに釣り上がるでしょう。しかし、それでもなお、日本の水産行政は外交上も経済的にもまったく割に合わない捕鯨産業を手厚く保護し、多額の税金を注ぎ込むことをやめないでしょう。多数の零細漁民が石油投機マネーに翻弄されるのを、"自己責任"といって見殺しにしながら……。
 日本の沿岸漁民のみなさん、いまのあなたたちの苦境に手を差し伸べようとしない日本政府が、大量の石油をガブ飲みしてはるか南極まで出かけていく大手捕鯨事業者にだけ特権を授けることを、どう思いますか? 本末転倒だとは思いませんか??


参考リンク:
http://www.kkneko.com/ondanka.htm
posted by カメクジラネコ at 00:38| Comment(4) | TrackBack(0) | 社会科学系