2008年06月01日

この数字の違いはなに!?

◇この数字の違いはなに!?

 読売新聞(5/31)に面白い記事がありました。生物多様性会議の次回開催地が名古屋に決定した件の解説記事です。本題ももちろんクジラと関係してくる話なのですが、目を引いたのは"ある数字"。

予算不足のため、環境省の保護・調査活動は市民ボランティアに頼る部分が多い。毎年1月に行うガン・カモ類の調査はその一例で、全国で約5000人が手弁当で協力する。「日当ぐらいは払いたいが、わずか420万円の予算ではとても無理」と、同省は苦しい台所事情を打ち明ける。(以上引用、強調筆者)
 調査捕鯨には補助金や財団からの融資などで年間20億円以上国庫から支出されているとみられ、鯨肉の売却費用を含め50億円を下らないコストがかかっています。同じ生物学的調査といっても3桁も違うわけです。
 ガン・カモは皆さんもご存知のとおり、身近な水辺の鳥として、日本人にきわめて縁の深い、日本の自然と文化と切っても切れないメジャーな野生動物です。残念ながら、多くの種が狩猟対象となっており、カルガモやマガモなどは年間十万羽単位で捕獲されているわけですが・・。といってももちろん、科学研究目的の致死的調査ではありません。致死的であれ非致死的であれ(参加されているNPOのボランティアの方々は当然後者を選ぶでしょうが・・)20億の予算がつけばどれほど助かることでしょう。
 もちろん、ガン・カモに限らず、哺乳類から昆虫、水生生物、植物にいたるまで、一分類群に科学研究名目でこれほど破格の、桁違いの予算が振り向けられる野生動物は他にありません日本国内の自然と文化と縁遠いはるか南極のクジラだけが、きわめて特殊な扱いを受けているのです。しかも、その手法は"致死的"調査に極端に偏っており、内容も繁殖や社会行動など重要な生態がほぼ手つかずの中、死体の胃内容物と耳垢栓を毎年毎年調べ続けるだけの代物なのです。
 もし、調査捕鯨と同額の補助を受けられたなら、全分野の生物学者が大喜びするでしょう。しかも、そこから得られる科学的成果も、干からびた"捕鯨学"の比ではないはずです。きっと斬新で有意義なレポートが量産され、サイエンスやネイチャーに続々と発表されて、日本発の生物学革命が引き起こされたとしても不思議はありません。
 野生生物の科学研究の中で、クジラ(を殺すこと)だけを、なぜかくも別格扱いするのでしょうか? これでは、公平・公正な科学振興のための行政とは到底呼べません。一体、クジラ(を殺すこと)が日本にとってそんなに神聖なことなのでしょうか?? それは一種の差別なのではないのでしょうか???


◇TV番組評
 
■クジラを間近で見たい|世界弾丸トラベラー (5/31,日テレ)
http://www.ntv.co.jp/dangan/contents/broad/080531/main.html

 吉川ひなのがバハ・カリフォルニアへ。
 ザトウクジラが30mあったらミュータントだニャ。。というツッコミはさておき、クジラ(死体ではなく生きているほう)が好きだといってくれるタレントなら、筆者は誰であっても選り好みせずに応援するニャ~。
posted by カメクジラネコ at 01:51| Comment(2) | TrackBack(0) | 自然科学系