2008年06月30日

オウムとクジラ──江川紹子氏の捕鯨擁護論批判

 オウムの一種のヨウムはクジラと同じく動物界の天才である……という話ではありません。
 うちに大挙して訪れていたネトウヨさんたちは、どういうわけか環境保護団体グリーンピースのことをしきりにオウム呼ばわりしてしていました。
 筆者には、2つの団体の間には"団体である"という以外、1つの共通点も見出すことができません。鯨研という名目上科学機関でありながら株式と寄付で成り立っている財団法人、共同船舶という国から独占的に事業を委託され補助金も受けている特異な企業と同じくらい──あるいは、日本という国家="人の集まり"と同程度には、無関係です。国家や宗教団体と違い、GPを"崇める"人は一人もいないので、むしろ"より遠い"といえるかもしれませんが・・。
 私的に流用されていた疑いのある鯨肉を確保して検察に提出した行為を、リンチや毒ガスを使った無差別殺人と同列に扱う感覚は、筆者には到底理解できません。
 オウムは、カリスマ性を武器に私欲を満たしただけの人物と、彼にすり寄り、あるいは依存して、人間性や倫理観を組織に埋没させ失ってしまったカルトのメンバーの集まりです。戦前の日本軍、北朝鮮の諜報員、アルカイダのテロリスト、いずれも同列でしょう。一方GPは、オゾン層破壊や気候変動、有害物質の規制などに関わる種々の国際会議で研究者によるレポートを提出し、同時にメディアに向けた直接行動で市民に対し広く"問題の所在"を伝えることをモットーに実績を積み重ねてきた国際NPOです。コーディネーターに要求されるのは、スキルと徹夜仕事に耐えるタフさ(・・)のみで、カリスマ性が顔を出す余地はありません(ある意味欠陥なのかもしれませんね・・)。
 ネットの巷では、(結果として不起訴となったが、再審理請求中の)横領と(結果として容疑者として強制逮捕されたが、裁判によって確定したわけではない)窃盗との法律上の比較論議が喧しくなされています。
 横領に関しては、決して捕鯨に反対しているわけではない捕鯨会社の社員が、不正に目をつぶることができず、不利益を承知で日の下にさらけだした内部告発の内容を、筆者は全面的に信じるに値するものであると感じました(詳細はGPのレポート参照)。それに対し、東京地検は「嫌疑不十分」ではなく「嫌疑なし」として不起訴にしました。これは明らかに、事前の照会に対する説明とは食い違う共同船舶側の弁明を鵜呑みにして、詳細な調査をまったく行わなかったということです。市民Webニュースでも指摘されているとおり、担当者はやる気があったにもかかわらず、上からストップの圧力がかかった疑いがきわめて濃いと思われます。
 窃盗については、GPJ側の弁護士や法学者の説明もあるように、法律上の解釈については意見が分かれています。結論については裁判の結果を待つよりありませんが、IWC総会前のタイミングを狙った強制捜査は明らかに不要なものでした。そのうえ、関与していたはずのインターナショナルのスタッフの身柄を英国に要求しないのであれば、逆に日本の警察の卑屈ぶりを世界にさらけ出すことになるでしょう。組織の関与を理由に拘留延長の決定を下したこととも矛盾しています。もっとも、勢いに乗って突っ走れば、事が外交問題にまで発展することは避けられないでしょう。しかし、それは自業自得というものです。
 今回の行動が、GPにとって日本でのイメージダウンにつながったことは否定できません。ただ、"緊急性"に関しては、日本の調査捕鯨の諸々の問題点を、IWC作業部会での議論の俎上に乗せるためにも、サンチアゴ年次会議前のタイミングでぶつけることが非常に重要な意味を帯びていたということを補足しておきたいと思います。

 以上は、当ブログの過去記事で一通り書いてきた内容です。ところで、ネトウヨのオウム・GP同列論の出自がわかりました。なんと、他でもないオウム関連事件でも活躍したあの著名なジャーナリストである江川紹子氏の日記だったのです。
 まずはリンク先の江川氏の雑記帳をご覧いただいたうえで、氏の論法を一つ一つ検証しましょう。

■目的のために手段は…? (6/22,江川紹子ジャーナル)
http://www.egawashoko.com/c006/000264.html

 冒頭から"某カルト教団"を絡めていますが、なんでGPと違って名指しでないのかは不思議なところ。また、チベットの抗議行動(金門橋の建造物侵入)は氏の中では"浄化"されているのだそうです。法律論のうえで、浄化されているかされていないか、江川氏が感覚的に下した判断によって、法的な扱いが異なるべきだといいたいのでしょうか? GPスタッフも支持者も、"浄化"するのもされるのもまっぴらごめんだと思いますがね・・。こんな言葉がポロリと出てくるなんて、どっぷり漬かって取材してるうちに洗脳されたんじゃないかと心配したくもなります。。
 江川氏はこの件について、基本的にマスコミ情報を頼るばかりで、自ら裏をとった形跡がありません。GP側の資料で読んだのは星川局長のブログだけで、肝心のレポートにも目を通していない模様。環境保護を手がけたことが一度もない、この分野にかけては疎いずぶの素人なら、"ネコに小判"で事の重大性がまったく理解できなかったという可能性もありますが・・。調査捕鯨の疑義に関しては、最低でも『世界』3月号の東北大石井准教授の論説くらいは目を通しておくべきでしょうし、本来ならIWCから直接資料を取り寄せてしかるべきです。どうも氏は、影響力の高いプロのジャーナリストとしての自身の発言力について自覚がなさすぎるようです。
 GP側の弁護士の主張は、単に判例に基づく法解釈に関するもので、カルトの"浄化"とはまったく無関係です。この人はほんとに浄化というコトバが大好きなのですね。。

「捜査機関をおだてて利用するつもりが、逆に、捜査機関に踏み込まれる材料を自ら提供していた構図は、ほとんど自作自演の喜劇に近い」(以上引用)
 江川氏は、星川氏がブログ上で紹介した「横領されたと思われる鯨肉がどのように市場へ流れているかを含め、徹底的に問題の全体を洗い出したい」という担当検事のコメントを引いて、上記の結論を下したわけです。担当検事がGPに煽てられて「徹底的に問題の全体を洗い出したい」と述べた、と言っているわけです。ところが、GPがいつ、どうやって検察を煽てたのか、江川氏は一切何の検証もしていません。筆者には、担当事件に関わりなくまっとうな検事が示す姿勢の表明としか受け止められなかったのですが。もし、「徹底的に問題を洗い出す」と担当検事が言っていたにも関わらず、問題の一つも明らかにされずに「嫌疑なし」とされたなら、プロのジャーナリストであれば、その判断の過程で一体何があったのかを疑うのが自然な感覚ではないのでしょうか?

確かに、「問題」は提起された。「議論」もある程度は起きた。けれども、それは「鯨を捕ることはよくないのではないか」という方向での議論ではない。(以上引用)
 江川氏ほど斜め読みの得意な方も珍しいのではないでしょうか? GPはこの件に関して「鯨を捕ることはよくないのではないか」などという議論は一切提起していません。それは、反捕鯨団体ってのは、こういうことを言っている連中だ」という先入観から導き出した、江川氏自身の勝手な思い込みでしかありません。
 GPは間違いなく、日本の現行の調査捕鯨が様々な問題点を抱えていることを浮き彫りにしました。日本で議論が十分に起こったといえませんが、新聞の中には社説や解説の中で、きちんと"両成敗"の主張を展開しているところが出てきていますし、さらに多くの市民がGPの引き出した成果(手法ではなく)を高く評価しています。江川氏は、この第三の議論のついては目に入らないか、意図的に無視しているといわざるをえません。
 最悪なのは最後のセンテンス・・・・。

なぜ鯨はダメで、牛はいいわけ? どうして鯨を殺すのは残酷で、イラクあたりで人間をバンバン殺しているわけ? 鯨は守らなきゃいけないけど、カンガルーを食べてもいいのはなぜ? 
 牛に共食いをさせ(=肉骨粉をエサにまぜ)るような自然の摂理に反する行為を続け、狂牛病まで出ている国の人から、鯨食だけが悪食扱いされるのも、なんだか納得がいかない。飽食の日本はともかく、世界には飢えている人がたくさんいて、この食糧危機の中で、種の保存に影響がない範囲で鯨を海洋資源として活用することが、まっとうに議論されない、というのもおかしな話だ。
(以上引用)

 まさに捕鯨擁護プロパガンダの請売そのもの
 まず事実をいえば、ここに書かれてある主張はすべてGPのものではありません。つまり、GPの横領告発とも逮捕とも何ら関係ないのです。「イラクあたりでバンバン」に至ってはまさに逆です(しかも、どこまでいい加減な書きっぷりでしょう・・これでよくプロを自認できるものです)。イラク戦争でアメリカをバックアップしたのは、他ならぬ捕鯨を推進している日本政府であり、内外で反対運動に参加し、湾岸戦争による多国籍軍の核関連施設破壊、ペルシャ湾の汚染などの問題を告発する詳細なレポートを提出したのは、日本の調査捕鯨にも反対しているGPのほうでした
 一体江川氏は、ジャーナリストとしてこれらの主張を展開している団体なり個人に直接コンタクトし、その主旨を確かめたのでしょうか? それとも、捕鯨協会の雇ったPRコンサルタントがでっち上げたバーチャル反捕鯨団体の存在を真に受けただけなのでしょうか? 筆者も、これほど単純素朴な捕鯨擁護論にお目にかかるのは久方ぶりです。。調査捕鯨の問題点のみならず、捕鯨問題全般について、水産庁・捕鯨業界の宣伝文句を何一つ検証することなく丸呑みにしている辺り、報道に携わる職業人以外の個人ブロガー・・というより、まるで拙ブログにも出没しているネトウヨとまったく同レベルではありませんか。
 ところで、日本は牛を殺していないのですか? 「両方殺さなければ差別になる」というのが、江川氏のいう平等論なのでしょうか? 動物の取扱を人種差別の問題にこじつければどういう凄まじい結論になるか、常識的な論理的思考の持ち主ならわかるはずですが。これまた請売りの食糧危機論を引き合いにしているところから、江川氏が生態学についても社会学についてもまったく無知無理解だということがわかります。一つ付け加えておきますが、日本の食糧廃棄量は年間2千万トン以上、人口当りでは世界最悪です。現在の鯨肉の年間生産量は0.5%にもなりません。しかも、政府業界あげての販促活動にもかかわらず、鯨肉在庫は異常に膨れ上がっていくばかり。
 GPが「自信に満ちた態度に見える」「日本の人々の心情を軽蔑」というのも、江川氏個人の先入観、被害妄想でしかありません。GPのサイトや資料をご覧になった方々は、その腰の低さに驚くことでしょう。取り上げる外部のメディアによって脚色されてしまうことは確かにありますが・・。一つだけ、ネトウヨ捕鯨シンパを勢いづかせているという指摘は、まあ当たっていなくもないかも・・。
 「目的のために手段を選ばず」という記事タイトルを見る限り、江川氏は手段のほうを批判しているかに見受けられますが、中身を読んでいくと、実際にはかなり稚拙な捕鯨擁護論を振りかざして目的そのものを否定しています。問題提起と結論との間で、奇妙な議論のすり替えが起こっているのです。
 まさしく江川氏の持論どおり、「目的は理解できるが手段は選んだほうがいい」とGPを煽ててみせれば、建設的な提言だという評価もあり得たでしょう。しかし、江川氏のこの日記上に書かれているのは、主観に基づくGPの存在否定であり、多少スパイスは効いていても薬になる助言や苦言とはおよそかけ離れています。アドバイスを装って、国・業界・右翼の共感ばかりを気にかけ、自分も多数派の攻撃側に"乗っかる"ことで安心を得ているのではないか──そう思われても仕方がないのではありませんか、江川さん?
 中でも、"お前たちの所為"で「捜査機関が介入するハードルを引き下げた」という江川氏の論理は、明らかにおかしなものです。
 GPが越したハードルが高すぎたから、あなたは文句を言ってるんじゃないの? 引き下げられて困るのは、どの市民団体も使う手を使ってGPが捜査された場合でしょ。だとしたら、GPを叩くのは筋違いというもの。江川氏のリクツは、権力側が狙う萎縮効果をそっくり認めるものに他なりません。「何もするな」「疑問を持つな」「お上に逆らうな」と。「そんなことするから"ああ"なるのだ」と。氏ほどのジャーナリストならとっくにわかっているはずですが。公安関係者はあなたの論評に、「GPをしょっぴいた甲斐があった」と大喜びでしょうね。
 今回の逮捕劇は、14年前にオウムによって引き起こされた松本サリン事件で、被害を受けながら濡れ衣を着せられてしまった河野氏の立場にむしろ近いようにすら、筆者には思えます。日本のジャーナリズムは、十分な検証を行わずに村八分的に"容疑者"をバッシングすることの愚を、もう忘れてしまったのでしょうか? 揃って「右へならえ」してしまったマスコミ(一部そうでないところもあるのは救い)のお粗末ぶりには目を覆いたくなります。これでは、権力を監視する"第4の権力"として市民が頼れる存在には程遠いといわざるを得ません。今回、事件報道の際に不可欠であるはずの"容疑者の動機"の詳細な分析をしたメディアは、残念ながらありませんでした。それこそは調査捕鯨の隠れた暗部に他ならないのですが・・。
 江川氏がどうかは知りませんが、GP側の肩を持って自分のステータスに傷がつくのを、自分まで袋叩きのめ目に遭うのを恐れる風潮も、言論界にはきっとあるでしょう。そんな風評など恐れずに声援を送るヒトも決して少なくはありませんが、失うのが怖いほどのステータスなど持っていない、名もない市民ブロガーのほうがまだ勇気のある方が多そうですね・・。
 筆者自身はもともと江川氏のファンというわけではなかったので、「何じゃこりゃ」と顔をしかめただけでしたが、一応リベラル派のジャーナリストとして氏を評価していた方々の中で、今回の日記を目にして深い幻滅を味わった、失望したという声を多く耳にしたことも付け加えておきましょう。まあ、個人個人で価値観が異なるのは当たり前ですし、共感を覚えた著名人のちょっとしたコメントに裏切られた気持ちになるのは誰しもままあることですが・・。でも、さすがにコレは落差が激しすぎるよねぇ。。。 

■グリーンピース告発レポート・奪われた鯨肉と信頼 
http://greenpeace.or.jp/docs/oceans/wm2008/doss.pdf

■窃盗口実NGOいじめ、警視庁公安部らグリーンピース・ジャパンを強制捜査・捕鯨問題で
http://www.news.janjan.jp/living/0806/0806200117/1.php (リンク切れ)
http://janjan.voicejapan.org/living/0806/0806200117/1.php
■グリーンピース職員の拘留に対する不服申し立てが棄却|カナダde日本語
http://minnie111.blog40.fc2.com/blog-entry-958.html

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2008年06月29日

IWC総会閉幕──メディア・ランキング

 HPを更新しました。

■捕鯨報道マスメディアランキング その2・IWC2008サンチアゴ総会関連報道
http://www.kkneko.com/media.htm#2

 ここではいくつかの記事で、各紙に対してほぼ共通するコメントを残しておきたいと思います。
 まず27日、デンマークが要求したグリーンランド先住民捕鯨のザトウ捕獲枠10頭追加が否決された件について。各紙とも暗雲」「冷や水」「禍根などの表現を用い、「作業部会形式移行後も捕鯨推進・反対派の対立が根強く残っている」「今後の動向が懸念される」という、日本政府関係者の発言をそのままなぞる形で報道しています。しかし、この件は、5年おきに更新される先住民捕鯨捕獲枠として昨年度の総会で採択済みの提案を、デンマーク側が再度持ち出したもの。IFAWが現地のスーパーで鯨肉が売られていることを報告したように、消費形態が変化する中で枠を増やすことは、そもそも持続的・伝統的な利用の定義に反します。しかし、NGOの指摘を伝えたのは、日本国内ではAFPのみ。否定された"デントウ"性のレベルが日本の沿岸捕鯨と近いため、こういう解説をプレス向けに用意したのでしょう。
 同27日のシーシェパード非難決議見送りは、単にロンドン中間会合で「もう済んだ」というだけの話です。
 28日最終日の閉幕の記事、NHKを始め各メディアとも「"念願の"沿岸小型捕鯨再開に向けスタート」という表現をしています。しかし、まるで小型沿岸捕鯨再開こそが日本政府の最優先目標であるかのような書き方は、明らかに誤りです。従来の政府の姿勢を見ても、増産による沿岸事業者圧迫の事実を見ても、日本にとっての優先順位が調査名目の大型・遠洋・母船式捕鯨>沿岸捕鯨であることは火を見るより明らかです。報道関係者もきっちりウォッチしていればわからないはずはないのですが・・。NHKのラジオでは、記者が正直かつ得意げに"解説"していたとの情報も。まあ、実際にはこれも、代表団のコメントをそのまま記事にしただけにすぎないでしょうが。
 これから先、作業部会での議論は、来年の総会で結論が明らかになるまで密室で行われ、市民の目からは隠されてしまうことになります。日本政府部内でも"押せ押せどんどん"の超強硬派ばかりではなくなったはずですが、「主導権を握れ」「主張が通らなければ脱退しろ」と息巻く人もまだいる以上、予断は許しません。
 正直筆者は、NPTや6ヶ国協議における北朝鮮の役回りを、日本が地でいくのではないかという懸念を隠せません。日本政府が、この先最終合意にこぎつける段になって、沿岸小型捕鯨再開を、パッケージ化した複数懸案の中での捨て札にするつもりでいることは疑いないでしょう。南極での調査捕鯨という手札を残すための。北朝鮮が金融制裁やテロ国家指定を解除させるために、ミサイル発射や核開発という挑発行為に出たのと同じ、オトリの取引材料にすぎないのでは──。

 来年、そういう事態になることを避けるためにも、代表団の言葉を鵜呑みにして小型沿岸捕鯨再開を最大テーマに掲げたマスコミは、杜撰な調査捕鯨の実態を追及するという、ジャーナリズムの本来果たすべき仕事をきちっとやってのけて欲しいものです。NGOのやり方を批判する前に。日本のマスコミは、NGOに無謀な真似をさせなければ真実を暴けないほど、頼りなく、情けないといわれないように。
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2008年06月28日

2つの顔を持つ農水省??

◇IWC関連ニュース
 

■気候変動、捕鯨賛否両派の論拠に IWCで意見表明 (6/26,朝日)
http://www.asahi.com/international/update/0626/TKY200806260270.html (リンク切れ)
http://megalodon.jp/2008-0628-1345-38/www.asahi.com/international/update/0626/TKY200806260270.html

 記事見出しからすると、まるで一つの主題に対する正反対の結論が両陣営から出されたかのように受け止められかねませんが、中身は全然次元の異なる話です。
 まず、お馴染みWWFによる正統派環境保護団体らしい主張から。氷縁で摂餌するクロミンククジラが温暖化によってとりわけ強い影響を受ける種であることは、ホッキョクグマやイッカクの場合と同様に、生態学・環境科学的見地からは疑いの余地がありません。WWFの指摘の正しさに対する反証は、門外漢の水産資源学者には出しようもありませんしね・・。
 一方、WFF(官製道路擁護団体そっくりの捕鯨擁護団体、ウーマンズフォーラム魚。WWFとすっごく紛らわし・・ねらってるのか?)の主張は温暖化対策として捕鯨が有効というもの。IWCの場で水産庁が主張するのはそもそもお門違いで、IPCCや今度の地球サミットで取り上げるべきこと。ま、取り上げられるはずもないですが。こっちはただのフィクションですから。改定管理体制(RMS)下での高コスト商業捕鯨を、大隈氏の壮大な"構想"に沿って、食習慣も供給体制もない日本以外の国で主要な食肉代替需要に充てようなどというのは"妄想"以外の何物でもありません。嘘だと思うなら、第三者機関に厳密な社会科学的シミュレーションをやらせ、その結果を公表してみせてご覧なさいな。ノルウェーの団体や日本の関係者が示している小型沿岸捕鯨と畜産業の比較データは、片手落ちもいいところで使い物になりません。そのうえ、共同船舶は肝心の自社のCO2排出量すら環境省に提出せず、まともに計算できないか少なく"偽装"しているかどちらかですし。あらぬ疑いをかけられたくなければ、まず数字を公開してはいかがですか?

参考リンク:
■地球温暖化とクジラ (拙HP)
http://www.kkneko.com/ondanka.htm
■食糧危機とクジラ (拙ブログ過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/16285138.html

 

■クジラの個体数は回復していない、専門家らが指摘 (6/23,AFP-BB)
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2409087/3067744

 「クジラは精神的に疲れている」という研究者の表現を、捕鯨シンパが物笑いの種にしている模様・・。生物学(社会学・行動学)にまったく疎い捕鯨擁護派には理解不能なようですが、これは何もクジラに限った話ではまったくありません。地上の野生動物でも、多少なりとも社会性を備えた動物にとって、捕獲や人為的な生息環境の改変によってもたらされるストレスは、特に繁殖行動に関わる社会行動を阻害し、個体数の大幅な減少をもたらす重要な要因となります。

 以下もご参照(アフリカゾウの事例)。

■シロナガスとミンクのPTSD (拙ブログ過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/archives/20080605-1.html

 


◇ウナギとクジラ・その3

■偽装隠蔽?ウナギの産地証明書送付状、卸売業者が廃棄 (6/27,読売)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080627-OYT1T00456.htm (リンク切れ)
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/eels_mislabeling/
■うなぎ 偽装指摘後も出荷続行 (6/27,NHK)
http://www.nhk.or.jp/news/k10015544491000.html (リンク切れ)

 元大手捕鯨会社マルハニチロホールディングスの子会社・神港魚類他によるウナギ表示偽装問題で、担当課長が産地証明の送付状を廃棄していたことが新たにわかりました。偽装を隠蔽するために破棄した疑いが持たれています。また、神港魚類側の説明では、農水省の聴取を受けるまで偽装を知らなかったとのことでしたが、それ以前に他の業者から情報を得ていながら、なおも販売を続けていたことも明らかに。ブローカーへの確認を怠るなど、農水省側のチェックの大甘ぶりも浮き彫りに。果たして業界最大手の偽装工作をどこまで暴くことができるのか、今後の同社に対する処遇にも注目したいところです。

 


◇2つの顔を持つ農水省??

■<諫早干拓訴訟>農水省も騒然 幹部、判決に「まさか」 (6/27,毎日)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080627-00000041-mai-soci (リンク切れ)

 またもや、IWCと直接的には関係ナイけど、間接的には関係大アリのタイムリーなニュースが流れました。干拓事業と漁業被害との間に「相当程度の因果関係」を認め、開門と詳細な影響調査を求めた佐賀地裁の判決は、良識に沿ったきわめて妥当なものといえましょう。もっとも、農水省側はどうやら控訴する方針のようです。一体これが、本当に守るべき漁民に対する行政の仕打ちなのでしょうか!?
 偽装から消費者を守れない農水省
 それどころか、消費者を騙すメーカー側の便宜を図るかのように、丸一年食品偽装問題に振り回されてきた消費者を尻目に、実効力のある規制や監査体制の強化に本気で乗り出す姿勢が一向に見えない農水省
 開発から零細漁民を守れない農水省
 お手盛りのインスタントアセスのみで、差し止め勧告にも耳を貸さずに工事を強行、完成したら今度は既成事実を盾に、目の前で起きている漁業被害との因果関係を調査・立証する責任すら認めない農水省。塩害のリスクも、減反政策と真っ向から矛盾する必要性に対する議論もないまま、早計に入植させた農民を盾に、土建屋を潤すだけのために行った公共事業を正当化する農水省
 科学から目を背ける農水省
干拓事業によって、実際に海流変化や土砂堆積が起こり、工事開始・閉門と見事に相関する漁獲量の減少も数字ではっきりと示されているにも関わらず、科学的因果関係は証明されていないといって逃げ続ける農水省

 一方では、まるで国際会議で世界(反捕鯨国とNPO)を相手に、日本の全一次産業を守る砦として戦っているかのように振る舞う農水省
 科学の権化であるかの如く、鯨食害論をふりかざし、調査捕鯨の科学的成果と必要性に胸を張る農水省

 一体、どちらが本当の姿なのでしょうか???
 もっとも、沿岸捕鯨の再開を声高く謳い上げながらも、大手業者による国策捕鯨を守る取引材料としてしか考えていない点は、諫早干拓問題の構図と実によく似通っているといえるでしょう。また、IDCRの結果、クロミンククジラの目視数は明らかな減少を示したにもかかわらず、干拓事業の影響よりはるかに曖昧で根拠のない定性的な主張でもって数字を否定する姿勢(しかも、76万という旧い暫定合算値のほうは否定することなく!)からは、科学を恣意的に都合に合わせて取捨選択する姿勢が透けて見えます。クジラ以外の水産生物学者の間では議論されない食害論もまた然り。
 そして、野生動物保護、海洋生態系保護に対する国民の関心が食品偽装問題と同程度に高かったなら、NGOが非常手段に頼らずとも、マスコミが調査捕鯨"偽装"を追及し、農水省も渋々重い腰を上げるという展開もあり得たかもしれません。逆に、杜撰な調査捕鯨が罷り通ってしまう現状は、偽装がクローズアップされる前、国民が何も知らずに騙され続けていた頃の食品表示の実態と重なるのかもしれませんね。
 農水省の"二重人(省)格"──国際会議の舞台でいくら仮面を被って正義のヒーローを気取っても、"変身前"の水産行政の素行強きになびき弱きをくじく本性は、世界と日本の市民の目にはもはやバレバレですよ。

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2008年06月27日

聞いてあきれるデントウブンカ 長崎編その2

◇ブログ炎上!

 多くても200アクセスに届かなかった当ブログが、GPJのメンバーが逮捕された直後の21日に、突然2600アクセスに跳ね上がり、あっという間にカリスマブロガー並に。・・と思いきや、5日を経た26日現在は500アクセスとだいぶ落ち着きを取り戻したようであります。
 ネット上では"炎上"という現象があるようで、コメントでも炎上と書き込んでくる方がいらしたのですが、いわゆる巷で定義されているところの"炎上"は、管理者(大抵はある程度のステータスのある方)のある種の失言・暴言記事を引き金に、カキコミが殺到して、管理者が謝罪や発言撤回を余儀なくされ、場合によってはサイトが休止や閉鎖に追い込まれるというもので、そういう意味では当ブログにて炎上なる現象が起こった形跡は実のところありません。個人の実名や差別用語を平気で書きなぐる低レベルのアラシも含めて対応に時間をとられたのはまあ事実ですけれど・・。
 ご覧のとおり、1日1編の記事掲載と、なるべく当日中にコメントに対してレスを返すというノルマは、平常どおりにこなしておるわけです。いやまあ結構キツイんですけどね、文章まとめんのは(--; 事実誤認のヘマをやらかすことは、筆者も早とちりですのでなきにしもあらずですが、主題に対する筆者の考え方は基本的に確立されているので、揺らぐことはありません。戦術・戦略の変更はいくらでもあり得ますが。
 筆者のブログは、まだ脳ミソの柔らかい若い方々に、なるほど「こういう考え方・モノの見方もあるのか」という、いわばサンプルを提示しているにすぎません。捕鯨推進派の主張やマスコミの流す情報と引き比べて、後はみなさんがご自身の頭と心で判断すればいいだけのことです。
 いきなり群がってきてゴミを撒き散らしていったときは、うちの庭にはびこってるヨコバイちゃんたちを思い浮かべちゃったけど、閑散としてきたいまはユスリカさんたちのようなはかなさを感じさせます・・。ヨコバイやユスリカのほうがずっとカワイゲはあるけど。。ウヨガキ君たちはどうも少し忍耐力が欠けているようですねぇ。

 筆者としても、もう少し丁寧に応対してあげればよかったなあ、とちょっぴり反省しています。カキコミの数が少なければねぇ・・。とはいえ、ブログの管理にどの程度W/Lを割くか、実際にみなさんも自分のブログのアカウントをとって体験してみたうえで書き込んでいってもらいたいですねぇ。「GPガンバレ!」という記事1本書けば、軽く千アクセスいくでしょうから(笑)



◇ウナギ偽装続報

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080626-00000101-jij-soci (リンク切れ)

 マルハニチロホールディングスは、「うちの子会社まで悪質として同列の扱いを受けるのはかなわん」とばかり、親会社として自ら内部調査に。第三者に任せるのがスジではないのですか? おたくが母体になった某捕鯨会社じゃありませんけど、揉み消し工作とかしたりしないでしょうねぇ? 間にいくつもダミー商社をかませることに何の疑いも差し挟まなかったとしたら、その時点で消費者に製品を届ける資格はもはやないのでは? 「認識していなかったはずがない」というのが世間一般の常識的な見方だと思いますが。 


◇聞いてあきれるデントウブンカ・長崎編その2

■食再発見 変化のかたち・鯨肉 (6/18,FujiSankei Business i.)
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200806180011a.nwc (リンク切れ)

 長崎の隠れキリシタンが鯨肉を供える風習を紹介・・・・・。真面目なつもりなんでしょうか、それともネタ切れだったんでしょうか・・・。
 これって要するに、捕鯨擁護ネトウヨさんたちが大嫌いな舶来のキリスト教ブンカですねぇ。江戸時代の弾圧と拷問を復活してくれと言ってるんですかねぇ? ていうか、信者のみなさんがネットに群がる現代のキリシタン狩りに"弾圧"されないか心配になりますよ・・いや、マジで。
 筆者は無神論者なんでよおわかりませんが・・(進化を否定するファンダメンタリストは生理的に大嫌いですが、市民運動に理解のあるクリスチャンは結構多いので、そういう方たちは応援してます)。それにしても、長崎の隠れ(まだ?)キリシタンのみなさん。あなたたちの崇めるキリストさん(故人)は、「絶対鯨肉を供えてもらわなきゃいやだーっ!」って言ってるの? それはあなた方の"信仰"にとって必要欠くべからざるもんなんですか? 祭壇に鯨肉を供えなくてはならない理由は一つもないのでは? "代わりに"お供えされたサバに対して失礼なんじゃないの? 最後の晩餐のパンじゃないけど、「何を食べるか」なんて信仰心と何の関係もないでしょ?(筆者は聖書読んだことないのでどういう云われなんだか知りませんが・・)。どのみち、長崎で消費されてきたのは南極の海に住むクロミンククジラではなかったはずですが。
 量や形式にこだわるのはやめましょう。都合のよい部分だけもらってきたり、切り捨てたりして、ツギハギだらけになってしまった"ブンカ"を持ち上げるのはやめましょう。日本のアイデンティティの喪失に拍車がかかるばかりです。
 記者が書いたその下の作文は、捕鯨協会の先生に百点満点をもらえそうですね。水産庁の役人まで「余すところなく利用してきた」と嘘八百を繰り返していますが、お土産と同じく商業捕鯨時代から業界の慣行となってきた鯨肉投棄の"風習"の事実発覚(本当は以前からずっと指摘され続けてきたものですが・・)に対する捕鯨擁護派の反応は、耳を塞いであからさまな嘘を吐き続けるか、「捨てるのもブンカだ、リヨウだ」と図々しく開き直るか、両極端のパターンに分かれて深刻な自己分裂状態に陥っておりますニャ〜。。

 

 長崎編その1はこちら↓
■聞いて呆れる食文化 (拙ブログ過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/archives/20080504-1.html

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2008年06月26日

またまたまた偽装・今度は元捕鯨会社水産大手の子会社

◇IWC年次総会関連報道
 

■ 「妥協」求め路線転換…正念場迎えた日本 IWC総会開幕 (6/24,産経)
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/080624/erp0806241828004-n1.htm
 (リンク切れ)

 産経のIWC関連記事がヘン。よってメディアランキング最下位同列決定。。

■捕鯨報道マスメディアランキング−その2・IWC2008サンチアゴ総会関連報道
http://www.kkneko.com/media.htm#2 
 

■ハシゴ外された? 豪などにフラストレーション (6/25,産経)
http://sankei.jp.msn.com/world/america/080625/amr0806251756012-n1.htm
 (リンク切れ)

 同じく産経記事。・・・・やれやれ。森下参事官もギャレット環境相もタヌキなのはわかってるんですけどねぇ。森下氏はもっと気勢を吐いて見せたほうが(柄じゃないだろけど)、どっかの国の一部の層のフラストレーションが後々たまらなくていいかもしれませんねぇ。何しろ、「相手が譲るのは当然だが、自分たちは一歩も譲ることは罷りならん」という、歩み寄りや妥協という言葉の意味を理解できないヒトたちですからねぇ・・。いみじくもこの記者さんが、まるで他人事のように政府代表団の「対立の構図になじんできた一部NGOや豪州などのメディアには不満も出ている。今後の議論の発展には、こうした不満にどう対処していくかも課題」という談話を伝えていますが、対処が一番厄介なのはどっかの国なんですけどねぇ・・・・。
 さて、1年かけてどういうふうに地ならしをしていくか・・。とりあえず、「1頭足りともクジラを殺すな! 妥協は許さん!」と吠えて、お二方や議長のバックアップをしときましょうか。その役どころはけしからんアングロサクソンどもに任せましょうか・・。もちろん駆け引きは行われることでしょうから、市民の側としては引き続き強い圧力をかけ、どこまで本当にバランスのとれた決着にたどり着けるか、いまは見守り続けるしかありませんが・・。


◇またまたまた偽装・今度は元捕鯨会社水産大手の子会社

■ウナギ国産偽装、200万匹…「魚秀」などに改善指示 (6/25,読売)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080625-00000018-yom-soci (リンク切れ)

 飛騨牛に続いて、IWCと関係ないとこで実にタイムリーな事件を連発してくれる食品偽装大国ニッポンであります。。
 台湾産"里帰り"ウナギについては、つい先日明らかになった同じ一色ブランドを扱う地元漁協によるものの他、いくつもの産地偽装が発覚しています。今回の場合、200万匹という量も、所在地さえ存在しないペーパーカンパニーをわざわざ設ける手口も、監督官庁の農水省担当者が述べたとおり悪質という他ありません。それでもJAS方違反の改善指示だけで済む辺り、国民の立場からはとても納得のいくものではありません。雨後のタケノコのように、後から後から沸いて出てくる偽装を止める力のない農水行政にこそ、根本的な責任があるのではないですか? 監査体制、規格そのものを大幅に見直すべきでは? 行政との癒着は本当にないのですか??
 輸入会社「魚秀」とともに偽装に関わったもう一方の当事者である卸売業者・神港魚類は、他でもない元捕鯨会社2社が統合してできた日本の水産食品会社最大手であるマルハニチロホールディングスの子会社です。
 テレビの取材では、魚秀の社長のほうが首謀者とはいえ自分の言葉で白状していた分、まだしも人間味が感じられなくもありませんでした。対する神港魚類社長ら役員の会見は、ほとんど原稿棒読みで、「紹介された会社から購入しただけで、そのような認識はなかった」と、いかにも組織に倫理観を預けた不祥事企業トップらしい見解まで。報道によれば「怪しいと思いながら放置していた」と消費者をバカにした発言や、「魚秀側に脅された」と業界最大手を親会社に持つ企業らしくない弁明までした模様。神港魚類側も偽装の事実を知っていたことを、他でもない農水省が認めているはずですが・・。
 その後報道の第二陣で、魚秀側から神港魚類の担当課長に1千万円の口止め料が渡っていたことも新たに判明。農水省に相談したのはやはり神港魚類の社員、要するにまたも内部告発で、この一千万円は会社に保管されているとのこと。警察も捜査に乗り出したようですが、共同船舶をろくに調べもしないうちに無罪放免にしておいて、贈収賄での摘発に踏み切ることなど果たしてできるのでしょうか? 内部告発者の勇気ある証言を無駄にしないようバックアップしただけのNGOを強行逮捕しておきながら、なぜ多数の消費者を騙す悪質な詐欺行為を指導のみで済ませるのでしょうか? 日本の法律は、権力とそれにすり寄る側にとって実に都合よく恣意的に運用できるものだと、改めて感じます。
 これではもはや、偽装は水産・食品業界そのものの体質といわざるを得ないのではないですか? それもこれも、嘘と欺瞞で塗り固めた、乱獲の歴史を偽り、ごまかしの規制違反がまかり通り、税金による調査事業の副産物を土産で配る私物化行為を"風習"と開き直って押し通す大手捕鯨産業を、水産業の鏡として政府・業界あげて礼賛してきたことが、そもそもの元凶なのではないですか?



◇その他
 

■1402人が金品受領=33人を懲戒処分−調査結果を公表・接待タクシー (6/25,時事)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080625-00000093-jij-pol
 (リンク切れ)

 居酒屋タクシー利用、農水省は財務省に次いで197人でワースト2位。公務員でありながら、「こういうのはちょっとまずいんじゃないか・・」と胸に手を当てて考えるということができなかったのでしょうか? 私も会社員時代、残業で終電に間に合わずに、タクシーで朝帰りという日は頻繁にありましたが、ビールを勧められたことは一度もありません。まあ、もともと飲めないんですけどね。。それにしても、感覚が庶民とあまりにかけ離れていますね。
 金品授受に関するモラルの欠ける方がかくも多い農水省。偽装が次々と発覚する水産・食品企業の監督責任があるはずの農水省。あなた方が「日本の調査捕鯨には何の裏もありません」と言って、世界が信用すると思いますか?

 

http://www.yomiuri.co.jp/feature/foodexp3/ (リンク切れ)

 読売の企画記事「食ショック」連載終了。無理やり殺しを見せつける"食育"を持ち上げるのはやめて欲しかったけれども(廃棄を減らす効果は確かにあるでしょうが、こどもを対象にすれば心を傷つけるマイナス面のほうが大きい。これはむしろ親に見せる/育てさせるべきこと。命を捨てて無駄にしているのは大人なのだから!)、捕鯨擁護のホの字も出てこなかったのでひとまずホッ。読売にもまっとうなジャーナリズムの道から外れない記者さんたちはいるようです。そうあって然るべきだけど。。

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2008年06月25日

南極への異常な執着が示す捕鯨ニッポンの暗い闇

■身内に甘い農水省 飛騨牛取り締まる資格なし 調査捕鯨問題
http://www.news.janjan.jp/living/0806/0806230344/1.php (リンク切れ)
http://janjan.voicejapan.org/living/0806/0806230344/1.php
■窃盗口実NGOいじめ、警視庁公安部らグリーンピース・ジャパンを強制捜査・捕鯨問題で
http://www.news.janjan.jp/living/0806/0806200117/1.php (リンク切れ)
http://janjan.voicejapan.org/living/0806/0806200117/1.php

 昨日の筆者の記事に絡み、市民Webニュースが優れた横断的記事を掲載しています。

■IWC年次総会が開幕 小グループ協議の場目指す (6/23,日経)
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080623AT3S2302023062008.html (リンク切れ)

「南極海のミンククジラの推定数が日本の調査捕鯨の結果、従来の76万頭を下回るとの報告もあった」(引用)

 科学委の報告ですが、IDCR3周目の結果はきちんとまとまったのですかね。前々からわかっていたことではありますが、とりあえず暫定的な数字でもきちんと出してもらいたいものです。メディアを使って宣伝しまくった76万という数字を打ち消すくらいには。あと、日経さん間違えてますが、調査捕鯨(捕獲調査)の結果ではなく(捕鯨船も用いた)目視調査の結果です。

■鯨肉2年連続値上げ シー・シェパード妨害の余波 (6/23,産経)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080624-00000093-san-soci (リンク切れ)

 ウネスの卸値はキロ4千円ですが、小売価格は云万、横流しされていたらそっくり古参社員のポケットマネー行きだったわけですな。
 SSの所為にされていますが、在庫調整のために自ら減産調整した疑いが濃いとの指摘もあります。管理型捕鯨と安価な鯨肉は両立しません。下げても上げても採算が取れないのだから。国民の血税でもっと補填しろと言ってるんですかね? 実際、海外漁業協力財団からの融資増額を要請する声が挙がっているとのこと。 "商売の慣行"で市場価格外の安値で"土産"をもらってぼろ儲けした疑いのある連中に返還させるべきでは? 筆者はビタ一文出したくありません。あなたは?

 

■商業捕鯨 日本、議論の期限通告 IWC加盟国に「正常化を」 (6/21,共同)
http://www.47news.jp/CN/200806/CN2008062101000434.html

 大型沿岸捕鯨と北西太平洋調査捕鯨(JARPN)の捕獲枠交換は、昨年持ち出された"妥協案"。ですが、"交換条件"にしてくるのは筋違いもいいところ。JARPNは日本政府が勝手にやりだしたものです。これでは、自ら核開発をしておきながら金融制裁解除と核放棄をトレードしようとする北朝鮮のやり方と何一つ変わりません。ザトウ捕獲宣言もまったく同じでしたけど、調査が科学と縁もゆかりもない政治目的を隠すための看板にすぎないことが、この態度からも明白になったといえましょう。作業部会設置が設置されたことで、今年の総会は例年に比べ静穏に始まったものの、昨年に引き続き、日本だけが脱退をふりかざす"最後通牒"を独り勝手に突きつけた模様。会議をひっちゃかめっちゃかにかき回す横暴ぶりを見ても、ますます北朝鮮と見分けがつきませんね。。
 このように、日本側は公海上のJARPNから全面撤退する気はさらさらないようです。問題は、昨年引き換えにすると言ったのが南極海調査捕鯨(JARPA)ではなくJARPNな点。これまでのIWC上での日本政府の姿勢や代表の発言から、日本近海の(小型/大型)沿岸捕鯨よりも、太平洋公海での母船式(調査)捕鯨よりも、明らかに南極海での調査(=実質商業)捕鯨に対して、高いプライオリティを置いていることがわかります。日本近海やその外側の北太平洋上ではなく、規模的にも消費形態からも、伝統捕鯨の主張をまだ$「界に目を瞑ってもらえる余地がないでもない沿岸捕鯨ではなく、よりによってなぜ遠く離れた地球の裏側での母船式捕鯨操業に拘り続けるのでしょうか? 文化としての正当性だけでなく、南半球のオーストラリアを始めとする反捕鯨国の許容度の点からいっても、ハードルがはるかに高いのに。操業コストだって余計にかかり、その分を税金で穴埋めしているというのに。
 合理的に判断するなら、JARPAこそ真っ先に切り捨てるべき対象でしょう。「南極での捕鯨をやめる代わりに、沿岸を認めてください」と、その一言を会議の席上で日本政府が唱えさえすれば、IWCの現在の混乱は一挙に解決に向かうはずです。米国も英国もオーストラリアもNZも、GPやWWFも、あのC・W・ニコル氏も、日本政府の姿勢を高く評価し、サンチアゴの会場は日本を絶賛するムードで包まれることでしょう。一部の過激な団体には好きなだけ吠えさせていればよろしい。
 なぜそれができないのでしょうか?
 双方に利のある最善・最適の解決策から頑なに目を逸らし、日本が異常なまでに南極に固執する裏には、一体どのような政治的意図が隠されているのでしょうか──?
 筆者は、戦前の貪欲な拡張主義の亡霊を垣間見たような気がします。世紀が変わった今もなお、この国に「物量の差で敗けただけで大義は今なお健在だ」とするファシズムの残滓が漂っているなら、米国にねじ伏せられたという怨嗟の記憶がくすぶり続けているなら、これは世界にとって大変由々しき事態です。捕鯨議連の議員、食文化を守る会に加入している文化人、言論人の右傾度が、政界・言論界全体と比較してどの程度の傾きなのか、"計測"する必要がありそうですね。
 いずれにしろ、内外の社会学者・政治学者の手で、捕鯨ニッポンの南極に対する異常な固執の背景、政治心理をきっちり解析してもらうことは、IWCの将来を見据えるうえでも必要不可欠な作業となるでしょう。
 もちろん、戦前の悲惨な国家体制に戻るというのは、政治がどう引っ繰り返ろうとあり得ない(あってはならない)話です。現実問題として、南極海を自国の領海に組み入れたり、鉱物や石油を含む資源への権利を主張する道があるわけでもないし・・。いくら野生動物の死体を吊り下げた船団を、縦横無尽に走り回らせて世界に誇示しようとも。
 あるいは、せめて誰も文句を言わない──というより、さんざん文句は言われてるけど耳を貸さず、「どうだ、誰にも制止できまい」と、捕鯨を続けることによって慰めを得ているだけ、という見方もできなくはありませんが・・。
 大型の野生動物を千頭以上も殺すアグレッシブな活動、世界の抵抗にめげずにわが道をいく"海の男たち"の姿、こと捕鯨という分野に限っては自分たちが資源を占有しトップを走っているのだという妄想めいた感覚──。
 「南極のクジラは俺たちのもの」と、世界に向かって声高らかに謳い上げることが、国内の保守層のフラストレーション解消手段としてぴったりフィットしたということかもしれません。アングロサクソン・コンプレックスから自由になれない彼らにしてみれば、NGOの抗議や海外の市民の渋面さえも、高級料亭で鯨肉料理をつつきながら溜飲を下げる酒の肴のつもりなのでしょう。チベット弾圧にエールを送る最近の若い中国人の熱烈な愛国感情の発露にも、通じるものがありそうです。
 きわめて深刻なのは、それが日本人全体の総意であると判断されることです。世論調査の結果を見ても、日本人の7、8割は「南極からの撤退」を支持しています(業界サイドの誘導的な世論調査では賛成派が多数ということになってますが、「南極での捕鯨を続けたほうがいいと思いますか? それともやめたほうがいいと思いますか?」という前置きナシの単刀直入な設問を用意する気はないようですね・・)。「南極のものはオレのもの」という、1億総ジャイアンな国民だなんて、一体誰が世界に思われたいでしょう?? ごくごく一握りのウヨウヨさんたちを除いて・・。

 さっさと南極から撤退しましょう。日本が北朝鮮のように世界から危険視される前に。亡国の道を歩む前に。
posted by カメクジラネコ at 00:53| Comment(10) | TrackBack(0) | 社会科学系

2008年06月24日

そっくり偽装──そして、真実を偽ること

◇検証の舞台は海外へ

 いよいよ今年のIWC総会が開幕しました。

■状況打開に作業部会設置へ 国際捕鯨委員会が開幕 (6/23,共同)
http://www.47news.jp/CN/200806/CN2008062301000900.html 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080623-00000068-jij-pol (リンク切れ)
■捕鯨報道マスメディアランキング−その2・IWC2008サンチアゴ総会関連報道
http://www.kkneko.com/media.htm#2 

 愛媛新聞を同列1位に追加。まっとうな仕事をこなしてくれるマスコミが日本にもちゃんと存在していることを知るのはうれしいものです。これが正常なんですが・・。引き続き情報求ム。 

■青森地裁、グリーンピース2人の拘留を10日間延長 (6/23,AFP BBNews)
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2408839/3065503 
http://www.greenpeace.or.jp/press/releases/pr20080622oc_html 


 会議直前にしょっぴいて、期間中拘留し続けてメディア(特に海外)への露出を封じ込めるというわけですか? 本人たちがカメラの前に出ると、世論喚起のインパクトがすごく大きいですからねぇ。いや、青森県警さん。実に見事なお手前で。ここまで計算しているとは思いませんでしたわい。未決被告人を犯罪者扱いする日本の拘置所の人権侵害まで世界に再アピールすることにならなきゃいいですけどね・・。
 GPは本当にバカだったと思います。向こうが連携プレイでこれほど姑息で悪辣な手口を連発してくることを読みきれなかった点で。バカといっても可愛いもんですが。


◇そっくり偽装──そして、真実を偽ること

 
飛騨牛偽装、ミンチ用にも消費期限切れ混入の疑い (6/23,読売)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080623-00000047-yom-soci (リンク切れ)


 岐阜県の食肉卸売業者「丸明」が、飛騨牛ブランドの偽装を行っていたことが明らかに。等級のほか、消費期限や産地の異なるものも一緒に混ぜ込み、9割以上は表示を偽って販売していたとのこと。
 さて、この偽装事件、社長に指示された挙げ句濡れ衣まで着せられた元工場長など、従業員の内部告発があって初めて明らかになったことです。
 ワイドショーを賑わしたミートホープからはや一年、それでもこの手の水産会社、食肉会社による食品偽装事件は次から次へとひっきりなしに発覚し、一向に後を断つ気配がありません。うちのブログにも、「鯨肉の規格はJAS法に基づいている」なんて偉そうにコメントを書き込んでいる御仁がいましたが、ろくに監査もしないJAS法の規格なんて有名無実で何の効力もないことは、この事件を例に挙げるまでもないでしょう。そうでなければ、日本で食品偽装なんてそもそも一件も発生しないはずですからね。。
 これがもし、地方の一卸売会社ではなく、億単位の助成金をもらって国から事業を独占的に引き受けている国内唯一の大手企業であったなら、従業員の声など簡単に、完全に握り潰されていたことでしょう。真実を白日のもとにさらけ出すことなど、決してできはしなかったでしょう・・。
 マスコミの追及を受け、逃げ場がなくなった時点で一転する社長のコメント事件発覚後の農水相の歯切れの悪い会見、何もかも、どっかで見た某国策捕鯨会社とそっくりですね。社長は「農水省にすべて話したから後は指導に従う」と述べ、明確な謝罪や事実の釈明もないまま、いそいそと報道陣との会見を打ち切りました。国民の目の届かないところで、一体何の相談したのでしょうか? GP側に証拠隠滅の恐れがあるといって強制捜査に踏み切った青森県警ですが、共同船舶側には水産庁とやりとり(問い合わせというより打ち合わせ、口裏合わせじゃなかったの?)をしている間に、証拠を隠すだけの時間が山ほどありましたね。
 社員のみなさん、あなたの良心の声に耳を傾けてください。自分の人生が終わりを迎えたときに、自分の生き方に胸を張れますか? あなたは会社の道具ですか? あなたは国の道具ですか? 周りの人に流されて、それでいいのですか? 第二、第三の勇気ある人が出てきてくれることを願ってやみません。


◇真実を偽ること・2


■沖縄慰霊の日 首相ら参列し黙とう 知事が平和宣言 (6/23,毎日)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080623-00000007-maip-soci (リンク切れ)
http://d.hatena.ne.jp/dotcom-sengo/20080704/1215146015
 

 6/23、沖縄戦終結。
 組織のために、国のために、歴史をなかったことにしてしまおうとする人たちがいる。
 自分を、他人を、欺いて、真実を書き換えようとする人たちがいる。
 自由に生きることのできない、かわいそうな人たち。

 
posted by カメクジラネコ at 00:48| Comment(8) | TrackBack(0) | 社会科学系

2008年06月23日

食糧危機とクジラ

◇鯨肉横領事件、IWC(国際捕鯨委員会)関連報道

■鯨肉持ち出し英国人関与か 青森まで同行と上申書 (6/21,共同)
http://www.47news.jp/CN/200806/CN2008062101000787.html

■グリーンピースクジラ肉持ち出し 事務局長が事後承認 (6/22,読売)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/aomori/news/20080622-OYT8T00020.htm (リンク切れ)
■鯨肉持ち出しを事後承認 「犯罪防ぐ緊急性あった」|らち教
http://blogs.yahoo.co.jp/avatar4649/55537092.html

 GP側は、"そっちがそういう出方をするならば"と新戦術に出た模様。最初からこっちのシナリオをもっと詰めときゃよかったのに・・。
 青森県警さん、あなた方が事を不必要に大きくした所為ですよ。"逃げずに"突っ走るんですよねぇ? 東京地検さん、いまからでも遅くありませんよ。
 福田政権の外交手腕が問われる事態に発展しそうです。まさかこんなことで、ね。誰の所為?
 
■商業捕鯨再開へ期限通告 IWC加盟国に日本政府 (6/21,共同)
http://www.47news.jp/CN/200806/CN2008062101000434.html

 どうやら捕鯨ニッポンは北朝鮮と完全に同化してしまったらしい・・・。
 上記については明日にでもフォローする予定。 
 

◇メディア版捕鯨ヨイショ度ランキング

 北海道新聞の社説の出来がよかったので同列1位に。 
 

■鯨肉窃盗 「調査捕鯨」も問われる (6/21,北海道新聞社説)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/100120.html
■捕鯨報道・マスメディアランキング──その1・鯨肉横領疑惑・GP職員逮捕関連報道
http://www.kkneko.com/media.htm#1


◇食糧危機とクジラ

■食ショック第3部・飽食のコスト (6/19〜,読売)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/foodexp3/
■トレンド・環境保護の節度 (6/21,読売夕/論説委員丸山淳一)

 

 読売が日本の食糧廃棄事情に焦点を当てた連載特集記事を組んでいます。(筆者には意外なほど)まともな内容で、この体たらくでよく南極にまででしゃばって捕鯨をやれるもんだと、読むほどに恥ずかしさを覚えます。IWC前に特集してくれたことに感謝したいほどです。必読です。
 ちなみに、食糧廃棄量の数字は、農水省のほうを採用して約700万トンとしていますが、環境省は年間約2千万トンと推計しています。元のデータが異なるうえに、どちらも厳密に計測するのが無理なこともありますが、農水省の方は可食部分と不可食部分を切り分けて数字を出している模様。こっちの定義だと、マクロビや正食は食べられないゴミまで食べてることになっちゃいそうですが。。記事ではまた、養豚場への"リサイクル"も取り上げ、こんなもんは正しいリサイクルといえないことに一応少し触れており、この点も読売を誉めたいと思います。ゴミで燃やすよりマシとはいえ、二重三重の迂回生産に他ならず、飢餓で苦しむ第三世界に向かって胸を張れる話じゃまったくありませんから。
 もっとも、社説がアレなので、この先の展開がどうなるかは何ともいえませんが・・。またぞろ「余すことなく利用してきた」と嘘八百の主張を振りかざし、「見習いましょう」なんてことを平然と言い出すかもしれません。いや、そんなブンカがホントに日本にあったなら、他ならぬこの一連の特集で取り上げたとおりの、世界の恥ともいうべき食糧廃棄大国になってるわきゃないんですがね。。まあ、いまのところクジラのクの字も出てきませんが、論理的整合性をどこまで破綻させずに捕鯨擁護と結び付けられるか、興味深く見守っているところです。まともな記者さんだったら、最後まで触れない賢い選択をするだろけど・・。

 と思っていたら、21日の夕刊に、この好企画と連携(?)したIWC前のタイムリーな短いコラムが載りました。内容は「今度のIWCサンチアゴ会議で、中米とアフリカ諸国が、世界的に食糧が足りないのだからクジラを食べさせてくれと主張する」というもの。
 なんで始まる前にそんなことをこの記者が知っているのか、よっぽどの外交通で各加盟国の出席者と通じているのか・・。ま、ありそうなのは、全部日本政府のお膳立てで"言わせる"という情報を、"日本の"関係者にもらったということですかね。。中米ってのは、ご存知のとおり、すでにIWC票を日本に"売却済"のカリコム。外務省・水産庁がアフリカ開発会議の際に各国の代表を呼んでレクチャーを開くなどして、「あなたの一票をぜひぜひ買わせてくださいニャ〜」とせっせと働きかけてきたことも、もはや周知の事実です。
 まだモラトリアムが決まる前、捕鯨業界は「日本人の貴重な蛋白源」という主張を打ち出し、まったく説得力を持たなかったためにすぐ引っ込めたことがありました。国内で"デントウ食ブンカ"プロパガンダの効力が薄くなってきたもんだから、補強すべく少々言い回しを変えて復活させようという目論見でしょうか。十年一日の如く同じ主張を唱え続けてきた大隈大センセのようなヒトもいますけども・・。
 それにしても、短いコラムとはいえ、記事の内容はもうメチャクチャです。話は唐突に飛躍し、ユネスコから危機遺産に登録されるほどいろいろヤバイ状況にあるガラパゴスに。記者はまず、エクアドル政府によるナマコ禁漁を、背景や俯瞰情報を一切無視していきなり米国の圧力の所為に。「中国で"黒いダイヤ"と呼ばれているのだから」と、まさに記者自身が書いているとおり、アフリカ諸国の食糧危機とは何の関係もない話です。大体、高値で売れることに目を付けただけの連中が、まともな資源管理などできるわけがありません。一体この記者は、日本の沿岸各地で行われているナマコの密漁も、同じ論法で認めたいんでしょうか?? コメントを寄越した研究者も、国内のTAC制度が有効に機能していないことすら自覚できない捕鯨学者タイプのダメ資源学者か、ガラパゴスから捕鯨賛美まで強引に結び付けるこんなコジツケに自分が担ぎ出されるなんて"聞いてなかった"ヒトなんじゃないの?
 で、結び。
66億の食欲を満たしつつ、他の地球の住人とどう共存していくか。簡単ではないが、こんな知恵も出せないようでは「万物の霊長」失格である。(以上引用)
 お茶を濁して放り出してチャンチャンという、どこにでも転がってるパターンですね・・。何が言いたいのやらさっぱりわけわかりません。"共存"という単語は、いまのニッポンでは何もせずに現状を正当化したいヒトたちの常套句に成り下がってしまった感がありますが・・。
 「食欲を満たす」ですか・・。筆者は、飢餓問題の文脈でこういう表現にはお目にかかったことがありません。確かに国語としては間違いじゃないですが、骨と皮一枚になったこどもたちの姿を瞼の裏に浮かべながら、"食欲を満たす"って表現、出てこないんですよ。書けないんですよ。パーティーでナガスの尾の身を頬張りながらメタボの心配してるヒトたちと、何日も水だけで過ごして明日を生き延びられるかもわからないこどもたちを、同列に考えるってことを、頭が拒否するんですよ。
 ・・とまあ、単発コラムで見事にツッコミどころ満載ですが・・いいでしょう。
 筆者は思いました。この記者はスゴイ! 感動しました。捕鯨を正当化できる唯一の理由です。この理由なら、筆者は捕鯨賛成に回ります。
 さあ、世界から飢餓をなくしましょう。こどもたちの命を助けましょう。仮に、調査捕鯨で生産される鯨肉6千トンを全部アフリカの飢えに苦しむこどもたちのために回したとすれば、カロリーベースでは年間5万人ほどのこどもたちの命を救えることになります。飢餓問題の全面解決には足りませんが、栄養失調が原因で亡くなるこどもたちはおよそ500万人に上るとみられますから、そのうちの1%を救えるわけです(注:すべて鯨肉のみで賄ったと仮定した場合のものすごく単純な計算です。必要タンパク質のみ補うにしても、毎日鯨肉なんて食べさせたらそれこそ重金属と有機塩素にやられて、返ってこどもたちの命がアブナイため、前提としてもともと無理があります・・)。湯水のように食べ物を捨てることが常態化している飽食ニッポンに消費させるより、よっぽど命と資源の有効活用になります。永田町の会館に集うメタボなセンセイたちに舌鼓を打たせるのと違い、飢えて死ぬはずだったこどもたちの命を救うためであれば、クジラの命も報われるというものでしょう。今年からでも、ぜひこの5万人のこどもたちを実際に死の淵から救ってみせてください。鯨肉を使って。そうすれば、捕鯨ニッポンに対する世界の評価はガラリと変わるはずです。
 もちろん、提案する日本政府が全予算を拠出し、こどもたち一人一人の手元に渡るところまで輸送手段から技術からすべて提供・手配してくださいね。本当は相手国の食文化の破壊に他ならず、これまでの日本の捕鯨擁護論を全部引っ繰り返すことになりますが、この際大目に見ましょう。捕鯨操業及び輸送・冷蔵にかかるCO2排出などの環境負荷も、本来なら計算する必要がありますが、飢餓の解決のほうが優先順位が若干上ということで目をつぶりましょう。
 ただし、コスト計算は重要です。もっと安上がりにこどもたちを救う方法があれば、あり得ない選択ですから。果たして、鯨肉利用のコストパフォーマンスはどのくらいでしょうね? 他の先進国や飢餓難民を抱えている当の国々が、「なるほど、現実的で実行可能な選択肢だ」太鼓判を押してくれる結果が出るとお思いですか? もし、同じコストで鯨肉ならたった1人のこどもしか救えないところを、食材を変えたら千人救えたということになったら・・日本が世界中から白い目で見られるってこと、理解してます? 恥ずかしくて恥ずかしくて、穴があったら入りたいなんてもんじゃないですね。ハラキリですね。自分が餓死して詫びでもしなりゃ、とてもじゃないけど気が済まないでしょう。
 え、そうじゃない? もしかして、鯨肉は日本人が食べて、アフリカや中米の人たちにはその分の食糧を回すと言ってます? なるほど・・。じゃあ、票を買ってもらった国の代表に言わせる台詞の原稿急いで書き換えないとね。。ところで、読売新聞の特集記事に連載されてるんですけどね、日本という国では年間少なくとも700万トン以上食べ物捨てているんですってよ。上にも書きましたっけ? 素朴な疑問なんですが、なぜその分を減らしてこれらの国々に回そうとしないのですか?? 鯨肉の生産量なんて、あなた方が食べ残して捨てている量のたった0.1%にすぎないんですよ??? 先日開かれた「食文化を守る会」の鯨肉パーティーに、この記者か同僚が招かれたのかどうか知りませんが、出席していたのなら当日どれくらいの食糧がここで廃棄されたか、ジャーナリストとしてチェックしておくべきでしたね。
 日本では行政に見捨てられる場合を除いて餓死者はいませんが、世界を見渡せば6秒に1人、こどもたちの命が飢えで確実に失われているのです。そんな世界の悲惨な状況など目に入らないかの如く、罰当たりな飽食三昧をやめることのできない日本が、一体どの面下げてそんなこと言えるんですか?? 巨大母船団を組んで南極の海で捕殺した野生動物を高級嗜好品として飽食国家に供給することが、最貧国の食糧供給向上につながるなんて、世界中の誰がそんな"突飛なこと"を思いつくのですか???
 世界を納得させたければ、まずは食糧廃棄量を年間6、7千トン以下に押えることです。このだらしない国にとっては、相当な時間がかかりそうですが・・。それまで鯨肉の出番が回ってくる余地はありませんよ。そのことを承知のうえで、本気で、早急に食糧廃棄ゼロ社会を目指すと宣言しますか? IWCの席上で、世界に向かって? CO2排出も、自分の国で開催した会議上で6%削減と言っといて逆に6%増えちゃった国が? 国内のネット右翼以外の一体誰が信用するというのでしょう? そんな愚にもつかない提案をする前に、実際にゼロにしてみせる以外にないんじゃないですか。
 繰り返しますが、いまこどもたちのために日本ができることを何から何まで全部やったうえで、そういう提言をしているのですか? 救えるこどもはもう全員救って、後はもう捕鯨に頼る以外に道はない、そういう理解でいいのですか? 捕鯨を推進することで、南北格差も取り払い、政治体制・民族対立・環境難民対策、その他諸々の課題もきれいさっぱり解消できると。あるいは、飢餓問題の背景にあるそうした根深い構造上の問題を一気に解決できるウルトラCの秘策こそが捕鯨であると。結果を出してそれを証明すると。そういうことなのですか? ねえ!? 違うの!? どうなの!?!?
 ・ ・ ・ ・ ・
 こんな記事を書いて、ジャーナリストとしてよく恥ずかしくないですね。「万物の霊長」としてどうなのですか。幼いこどもたちの命をダシにすることが万物の霊長の証だというのなら、筆者は万物の霊長などまっぴらごめんです。
決議案は、「1頭のクジラ」を、「1人の人間」に置き換えて、環境保護の「節度」を問うものといえる(以上引用)
 筆者は断言します。日本の捕鯨はたった1人のこどもの命すら救うことなどできやしない。絶対に。この首を賭けましょう。
 朝日の"死神"も、確かに「受け手の反応読めなきゃまったくの逆効果だろうが」と思いましたけど・・。右左問わず、自分の言葉に酔う若手(もしくは落ち零れの年配)論説委員の自己満足(ウサ晴らし?)のためでしかないこの手のコーナーは、紙面の無駄だから廃止すべきだニャ〜。どうせなら、各記者にブログを開設させて新聞社のHPからリンク張ってやったほうがまだマシなんじゃないのかね。。あんたたち、読者の購読料からサラリーもらってる、書いた文章に対して重い責任を負うべきプロの書き手と違うんですか!?
 ところで記者さん。ベジタリアン/菜食主義ってご存知ですか? 日本以外の先進国で人口の概ね5%、広義でなら1割を超える人々が菜食を選択しているのは、何故だか知ってますか? 過半数の菜食主義者は、別に動物がかわいそうだからやってるわけじゃなくて、飢えて死ぬニンゲンのこどもたちがいることが耐えがたい"苦痛"だからですよ。単なる感情論ではありません。それが、食糧問題を解決する現実的、合理的、科学的、実効的な方策だからです(政治的には高い壁が立ちはだかっていますが・・)。少なくとも、捕鯨による食糧危機打開などという空論に比べればはるかに。もし、本当に食糧問題に関心があるのなら、詳しいことは自分でお調べなさい。プロのジャーナリストなのでしょう。
 別に菜食を強要するつもりはありません。食生活は各自の意志で選択することです(税金を使って南極の野生動物を捕りに行くのはまた次元が異なる話ですが・・)。食を取り巻く"環境"を考えても、日本が他の先進国のレベルに追いつくのはまだ十年は無理でしょうし。もともと日本人は、歴史的にみれば長い間人口の9割が"両方"食べていなかったわけですが、クジラすらやめられないヒトが一朝一夕にウシをやめられるとも思えませんし・・。ただし、次のことだけははっきり述べておきましょう。
 仮に商業捕鯨が再開されたとて、鯨肉は将来にわたって飽食ニッポンのグルメにしかなり得ません。5千万年の歴史を持つ一分類群のあっという間の絶滅と引き換えの形で、ほんの一時凌ぎの延命(それもたぶん日本人だけ)のためにクジラたちに犠牲になってもらうのは、ひょっとするとアリなのかもしれない。人類がそこまでのっぴきならない状況に陥ったとき、母船式捕鯨操業が可能なステータスにあるとも、冷凍・輸送のインフラが無事に機能しているとも思えませんが・・。
 要するに、「クジラ(の死体)が世界を救う」などというのは、食糧問題の本質を何も理解していない厚顔無恥の輩が提唱する、あまりにもお粗末なフィクションでしかないのです。

 

クジラと飢餓の問題についてはこちら
■日本の食文化キーワードで診断する鯨肉食
http://www.kkneko.com/bunka.htm

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2008年06月22日

メディア版捕鯨ヨイショ度ランキング

 HPを更新しました。

■鯨肉横流し事件の全貌解明を
http://www.kkneko.com/yoko.htm
■捕鯨報道・マスメディアランキング──その1・鯨肉横領疑惑・GP職員逮捕関連報道
http://www.kkneko.com/media.htm#1

 報道機関としては"ダメダメで賞"が読売、報道ステーション(昨日の記事参照)、週刊新潮。"まっとうで賞"は東京新聞。(現時点)
 IWC総会開催期間中も、ベーコン電波に毒され、増幅・中継役を買って出るマスコミを監視することが大事です。皆さんも各自見張っていてくださいニャ〜。何か見つけたら当方にもぜひおしらせくださいm(_ _)m

 
■不起訴「理解に苦しむ」=鯨肉横領容疑告発のグリーンピース (6/21,時事)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080621-00000067-jij-soci (リンク切れ)
http://megalodon.jp/2008-0624-1215-16/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080621-00000067-jij-soci

 GPJには、ともかく打てる手を尽くしてほしいと思います。 

 さて、今回の逮捕劇、青森県警側が強行逮捕に及んだ理由として「証拠隠滅の恐れ」を掲げたのはナンセンスというしかありません。証拠は東京地検に渡してるのに・・。警察の中でもとりわけ旧い体質のとこに当たっちゃったのかも。。
 非があるとすれば、"あちら側"が最悪の手を選んだ場合のシミュレーションがはたして十分だったのかどうか。まさにそういう結果になってしまったわけですが。昨日の記事でも述べましたが、GP側は捕鯨ニッポンの"良心・良識"と"政治的IQ"を高く買いかぶりすぎたんじゃないか、という気もしなくはありません。
 GP(組織)と筆者(個人)はいろいろ考え方の食い違いも大きく、最初に件の報道に触れたときは「まずいやり方だなあ・・」と舌打ちしたのですが(何よりイタかったのは、勝てる見込みの少ない"共同船舶からの横領"ではなく"横流し"のほうの物証を押えられなかったこと)、一方的に逮捕され、相手側がお咎めなしとなってしまったいまの時点では、むしろ「よくやった!」と喝采を送りたいと思っています。法に触れる形での証拠品確保という手段を賞賛・推奨はしませんが、卑劣な横流しと陰湿な"証拠隠し""口裏合わせ"に比べれば大分マシだと本心から思います。世間が著しくバランスを欠いているなら、その分の埋め合わせはしておかないと。
 何より、今回のGPJのレポートは優れた出来でした。しかし、肝腎の成果の方は、あまりに高くつきすぎた代価に見合っていません。IWCの場で、水産庁・鯨研に姑息な言い逃れを絶対許してはなりません。危険を顧みず内部告発してくれた方の誠意と労力が水泡と化すことは、あってはなりません。
 新聞には共同船舶社長のコメントも掲載されていました。

   「まじめに働いている乗組員や家族を不安な気持ちにさせたことについてグリーンピースは反省して欲しい」

   "大丈夫だ。ボロは出させない。こいつらからは守ってやるから、安心して国と会社に身を委ねてろ──"

 そういうわけですか? 不安ってなに? シーシェパードの物理的妨害に対してはそんな台詞一っ言も出なかったよねぇ。すっごく不思議なんですけど。
 何が不安なの、まじめな社員の皆さんは?
 何かがバレる不安?
 悪いとわかりつつ組織の"慣行"に従うことへの不安?
 "慣行"に背いて捨てられる、弾かれることへの不安?
 不安といえば、出港直前に船内で自殺された方の件、会社として何かコメントはないのですか? 「反省して欲しい」とは、これまた妙に柔らかい物腰ですが(鯨研の今期のレポートに比べても・・)、何かニンゲンとして後ろめたいことでもあるのですか? それとも、ガードはがっちりだから、この先何をやっても無駄だよという自信の表れ?
 社長のコメントと内部告発者の証言、どちらかが真実でどちらかが偽りです。100:0で、筆者は後者を信じます。「土産はない」と既にあからさまな嘘(それともやっぱりこっちが真実なのか・・)を吐いていたこともありますが、一方は持てる者にして組織の歯車であるトップの肩書が吐く脚本どおりの台詞なのに対し、他方はたとえ失うものが大きくとも真実だけは曲げられなかったニンゲンの言葉なのだから。
 まあ、社員の中には経験が少なくあまり事情を知らない若者もいるだろうとは思います。それでも、「お前らにはまだ早い。そういうしきたりだ」と、ウネスを要求されたことを口止めされたにしろ、上申してくれないのは残念な限りですが・・。
 逮捕されたスタッフに対し、一部のマスコミやネットに集う烏合の衆は、ここぞとばかり総"口"撃を加えています。シーシェパードに妨害された分の仕返しとばかり。まるで、シンボル化した捕鯨と自身のアイデンティティを重ね合わせているかのように。彼らの言い分に一切耳を傾けようとせずに。まだ裁判も始まっていないのに。
 正論? 自業自得? 筆者はそうは思いません。
 法治国家? 確かに。
 しかし……この国の法律は完全無欠ですか? 一分の隙もないのですか? 本当は誰も、日本の法律が完璧だなんて思っちゃいないんじゃないですか? マスメディアは法の判断に異を唱えたことが"一度"もありませんか? い・ち・ど・も?? いや、違うでしょ。右左問わず、自分たちの気に入らなければいくらでも批判するでしょ。それこそ毎日のように。ねえ、古舘さん。
 法を軽んじろとは言っていません。しかし、疑いを一切差し挟まない市民、十分な検証を行わずに論じるマスコミは、むしろ法を尊重しているとはいえないのでは? 法とはそもそもヒトを守るためにあるものなのではありませんか? そんなことでは、権力が都合のいいように書きかえたり新たに作ったりしたときに、困ったことになるのは法に守られるハズだった国民ですよ。
 例えば再生紙偽装。例えばトンネル耐震工事偽装。食品偽装のいくつかも。同じように勇気ある内部告発者がいたわけですが、取り上げるマスコミがいたからこそ、広く世間に知れ渡るところとなったのではないですか? 受け皿となるマスコミが、スクープと判断してヒトとカネを投入したが故に(そこに、視聴率がとれる、他社を出し抜けるという功利的な判断が含まれる点も否定はできないでしょう)、あえて違法行為に頼ることをせずに済んだのではないですか?
 もしマスコミが取り上げなかったら、そして、"ならばとやむをえず"たとえ法を犯してでも真実を白昼のもとにさらけだす"方法"を誰かがとらなかったとしたら、どうなっていましたか? 真実はずっと闇に葬り去られたまま、消費者はだまされ続け、いつか食中毒が発生したり、手抜き工事のまま完成したトンネルがくずれて多数の死傷者を出すこともありえたはずです。
 同様の事例は、挙げればいくらでもきりがないでしょう。中には、告発とそれを裏付けるための"行動"がとられてさえいれば、防げた事故・事件も間違いなくあったはずです。電車の運転マニュアル。原発の保守作業。医療過誤。エレベーター事故。ホテルの火災etc.etc.
 GPの直接行動は、筆者の目には「センスがずれてるんちゃうか?」「コストパフォーマンスどうよ?」と思えるものも確かに少なくありません。それでも、NGOの綿密な調査に裏付けられた大胆な行動は、企業の環境破壊活動(しばしば不法、不正行為を含む)を社会に告発するためのものです。日本と欧米との差は実績だけで(どういうパフォーマンスがウケを狙えるかという点では文化の違いも関係しますが・・)、市民の立場から国や企業を監視する必要性について、"価値観の違いロン"がしゃしゃり出てくる余地などありません。
 人命や福祉に関わる問題に比べ、日本において野生動物保護はあまり重い価値を置かれていないということもあるでしょう。筆者にとっては悲しいことですし、この国で人命がどこまで尊重されているかというと疑問を感じる部分もなくはありませんが・・。それでも、調査捕鯨という看板を掲げてウラで行われ続けてきた"社会的不正義"は、誰かが糾さねばならないことだったはず。
 もし、日本という国が、GPだけを悪者扱いして、調査捕鯨の内実に一切目をつぶるならば、それが日本人の国民性なのだ、日本人の体質なのだと、世界中が受け止めるでしょう。
 鏡にしっかりと映っているのですよ。世界中が見ているのですよ。私たちの反応を。

関連ブログ:
Greenpeace のメンバー逮捕の社説を英語版にしないナベツネ機関紙|flagburner's blog(仮)
http://blog.goo.ne.jp/flagburner/e/6cf36cedda547c5a857fc7c79fae89a6

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2008年06月21日

逮捕の前提

■グリーンピース部長 鯨肉窃盗罪「成立せぬ」 開き直り、専門家は「犯罪」 (6/20,産経)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080620-00000106-san-soci (リンク切れ)
http://megalodon.jp/2008-0620-2128-37/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080620-00000106-san-soci
■持ち出し行為は「窃盗」か?分かれる識者の見解 (6/20,スポニチ)
http://www.sponichi.co.jp/society/flash/KFullFlash20080620012.html (リンク切れ)
■グリーンピース幹部らを逮捕 (6/20,報道ステーション)
http://www.tv-asahi.co.jp/dap/program/hst/backnumber.php?20080620_1 (リンク切れ)
■「出頭するつもりだった」 逮捕は不当とグリーンピース (6/20,JanJan)
http://www.news.janjan.jp/living/0806/0806200158/1.php (リンク切れ)
http://janjan.voicejapan.org/living/0806/0806200158/1.php

 
 とうとうGPJ側だけ逮捕、横領の件は不起訴という最悪の結果に。しかも、GP側が「逃げも隠れもしないし出頭要請に応じる」と再三表明しているにも関わらず、立件の前提となるはずの相手側の不起訴に先行する形で、当局は家宅捜索と逮捕を強行しました。GPのほうでは早朝に記者会見をセッティングしていましたが、青森県警+警視庁はその直前を急襲して事務所の"ガサ入れ"が行われることに。つるんでいるメディアの関係者が事前に通知し、弁論の機会すら与えまいとしたのでしょうか。
 筆者は、A.IWC総会/洞爺湖サミット以降に引き延ばす(GPのアクションに対する牽制に使う)、B.共同船舶側を不起訴にする代わり、GP側も書類送検止まりにする(公平性に配慮するポーズをとって、IWC前に調査捕鯨に対する批判が高まるのを少しでも和らげる)という2ケースを想定していました・・。ところが、捕鯨ニッポンは、今回のGP側の問題提起を上手にかわして相対的に矮小化する高度な政治戦略を働かせるどころか、会議が始まる直前に、わざわざ事を荒立て、日本の強硬姿勢を世界に強く印象付ける選択をしたわけです。これで批判の火をかき消せるものと思いっきり息を吹きかけて、煽って極大のに燃え盛らせ、世界中に延焼させる結果にならなければいいですけどね。。
 強行逮捕の背景には、水産庁や捕鯨議連の要請というより、サミットを控え市民団体に対する見せしめとして利用する考えもあったのでしょう。ただ、水産庁/共同船舶側にも、世論とマスコミの援護を背景に、横領疑惑を完全に握りつぶしてしまえるという自信があってのことでしょう。
 いくつかこの件について報道したニュース番組をチェックしたのですが、淡々と取り上げただけのところも多い中、とくにひどかったのはテレビ朝日・報道ステーション。以前から捕鯨よりのコメントをしていた古舘伊知郎キャスターですが、かなりガチガチの捕鯨教信者になってしまったようです。番組中では、本件と直接関係ない鯨研提供シーシェパードの抗議行動の映像を流し(よそも使っているところはありましたが)、コメントを求めたのは鯨研と共同船舶の上役、元社員(告発者ではない)に対してだけ。
 しかも、GPIの大掛かりなデモンストレーションな映像、そして国家公安委のコメントと合わせ、GPのアクションをブンカの問題にすり替えてしまったのです。今回の行動については、GP側の担当弁護士が具体的な"国内の判例"を挙げて正当性を主張しています。最終的にはもちろん裁判所の判断に委ねるしかないわけですが、いずれにしても、これは単なる法解釈の問題であって、ブンカの違いとはまったく関係ありません。あるいは、巨悪に立ち向かう市民運動を異文化として真っ向から否定する新手の攻撃論法を、後ろめたいことをやっている諸兄に提示したつもりなのかもしれませんが・・。
 古舘氏は、「捕鯨についてはさまざまな議論がありますが・・」と前置きしておきながら、女子アナとともに自身の持論の賛成論を一席ぶちました。「ノルウェーのタラが減っている」(乱獲が原因ですよ!)だの、「北洋の鯨が増えている」(だれがそんなこと言ったんですか?)だの、「食糧問題を考えるとノルウェーでの捕鯨がうんたらかんたら」(つい先日対日輸出問題が明らかになったばかりですが・・なぜ輸出したいかわかってんの?)だのと、今回の事件の背景、日本の捕鯨とまっったく無関係な"遠まわしの捕鯨援護論"をぶつ始末。。さらに"仮に"乱獲があったとすれば・・」と、明々白々の事実を仮定の問題にすり替え、ジャーナリストがその気になればいくらでも入手できるはずの商業捕鯨史についてまったく不勉強であることを露呈しました。それでいて、窃盗行為と直結するところの調査捕鯨の妥当性=なぜ擬似商業捕鯨として内外から批判を浴びているのかということについては、何一つ触れずじまい。容疑者の動機を様々な角度から鋭く分析するのがメディアの仕事ではないのですか? それに比べれば、上記リンクのスポーツ新聞記事のほうがまだ公平性に配慮しており、よっぽど一流報道機関らしくみえます。
 権力を監視すべき立場の報道機関が、権力の濫用を擁護する側にまわってしまうというのはなんとも哀しい話です。マスメディアがやるべき仕事をしないなら、市民が代わって権力をチェックし、追及しなければ、真実を暴くことはおよそ不可能になってしまいます。それはすなわち、今回のGPの行為がやむを得ないものだったと立証するようなものでしょう。
 残念ながら、筆者個人ですべての報道内容を追うことはできません。「こういう番組、新聞でこういうふうに報道されていた」という情報があれば、ぜひお寄せください。マスコミの捕鯨擁護度ランキングといった企画も本当はやんなきゃいけないですねぇ。。
 いずれにしろ、この逮捕は少なくとも一つの前提に基づかない限り明らかな不当逮捕です。それは、日本の調査捕鯨が100%潔白であることの厳密な証明です。国内で、そして国際会議の席上で、日本政府と鯨研・共同船舶は、日本と世界の市民に対し、以下の問いに明確に回答しなければなりません。

  • 水産庁、共同船舶は、なぜ事前に「お土産は渡していない」という発言をし、それを翻したのか。
  • 現物支給の給料として"冷蔵ウネス肉"を全船員に配布したことを示す書類一式を地検に提示したのか(つまり地検がやるべきだった仕事ですが・・)。
  • 横流しされた鯨肉を使ったという証言がある料理屋の鯨肉入手ルートを詳細に調査したのか(これも同じく・・)
  • 高級部位流用による一部船員の不法所得(ウネス御殿・・)の監査(同じく・・)
  • IWCで認められた科学的調査捕鯨で、かつての商業捕鯨の慣習を納税者にもIWCにも何の断りもなく続行することが許されると考えているのか(日本が臆面もなくYESというなら、条約改正は絶対必要
  • その他内部告発によって明らかになったランダムサンプリングの虚偽と洋上投棄、病変の問題については、もちろんIWC上で徹底的に議論し、少なくとも結論が出るまで調査捕鯨を中止するのは当然のことです。
 

■GPリポート「奪われた鯨肉と信頼」
http://greenpeace.or.jp/docs/oceans/wm2008/doss.pdf

関連ブログ:
■鯨と緑豆|今日、考えたこと
http://tu-ta.at.webry.info/200807/article_2.html

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