2008年04月18日

魚とクジラとヒトの未来

日本から魚が消える日|素敵な宇宙船地球号 (4/13,TV朝日)


 "日本から魚が消える日"と題して、変わりつつある日本の水産市場の現状と、中国人バイヤーの密着取材を報じた内容。
 ビジネスの世界として考えるなら、豊かになった中国に日本が"買い負け"るのも自然の成り行きというものでしょう。築地や長崎で買い付けて空路で直送、その分の関税や輸送費がかかってなお競り勝つのだから、確かにビックリではありますが。それにしても、クロマグロの大トロ5切8000円とは・・。今なおチベット弾圧をやめない共産主義国家の顔を持ち、地球温暖化に関しては発展途上国扱いされている辺りは、まったく合点がいきませんが・・。ここまで"豊かすぎる国"になったのであれば、相応の責任を果たすのがスジというものでしょう。地方の農村部との著しい貧富の格差もあるわけですが。
 問題は、中国が辿りつつある先進国像が"欧州型"ではなく明らかに"日本型"であること。日本産(登場したのはマルハのクロマグロ・・)をベタ褒めするバイヤーも、食材としての品質にしか目がいっていませんでした。消費者のライフスタイルも明らかに高フードマイレージと大量廃棄が特徴の日本型に向かいつつあります。日本以上に偽装がひどいのもうなずけるというもの。
 しかし、消費者の意識が高く、ファッションとしての"エコ"に誤魔化されない賢さもあり、生産者が製品の環境に与える影響について情報開示し、持続可能性を保証しなければモノが売れない──そんな欧州型に近い環境調和型社会こそ、13億の人口を抱えなおそれが増大しつつつある中国が目指すべき社会のはず。でなければ、地球が破綻してしまいます。後から軌道修正するには大変な困難を伴います。もう手遅れかもしれないけど・・。そして、真っ先に憂き目を見るのは、魚と彼らに依存するクジラたちの棲む海の自然ということになりかねません。
 その中国に「魚を全部買い占められちゃう!」とばかり、(エコを看板にしているこの番組まで!)危機感を煽るのは如何なものか・・。これまで廃棄されていた魚種を有効利用すること自体は、決して悪いことではありません。今まで命を無駄にしてきたことの方が問題だったのですから。もちろん、新たに商業利用を始める魚種の資源管理にあたっては、細心の注意を払うべきことは言うまでもありません。日本の年間食糧廃棄量は2千万トン。クジラや中国人を目の仇にする前に、やるべきことは山ほどあります
 ところで・・アカマンボウがなんで"マン鯛"になるかしらん? ネーミング次第で消費者の購買意欲が大きく変わるのも国民性なんでしょうけど。。。

 
 番組でも取り上げられた問題の背景には、欧米でも健康・環境指向で肉離れが進み、その分魚の消費が増えたことがあります。急増する世界の漁獲量に、このまま進めば40年後に魚が絶滅するとの学説まで発表されました。
 捕鯨問題の経緯を振り返ると確かに皮肉なことではありますが、魚の消費増大はあくまで過渡期のものだと筆者は見ます。いずれはベジに近いライフスタイルが主役となる時代が到来するでしょう。肉や魚の消費量が完全にゼロになるとは思いません。しかし、人口増や環境の悪化による地球への負荷、過食による健康問題から、肉→魚→穀菜食中心へとヒトの食生活が移行していくのは避けられないことです。個体数と身体構造に見合った、サルの一種としての本来の自然な食の形態に戻るだけのことですが。できることなら、クジラと魚たちに大きな迷惑をかけないうちに移行してほしいですね・・・

参考リンク:
■素敵な宇宙船地球号・・・「日本から魚が消える日」におもう|わんばらんす
http://wanbalance.blog75.fc2.com/blog-entry-712.html
■日本から魚が消える日|ともさんのふむふむ大辞典
http://penperon.blog100.fc2.com/blog-entry-856.html
■水産食糧危機前兆|立教大学院・21世紀:危機管理研究会のプログ
http://blogs.yahoo.co.jp/riskcontrolsociety/19122774.html
posted by カメクジラネコ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会科学系